仕事図鑑

デザイン業界の仕事

ブックデザイナー(装丁家)

作品の良さが伝わり、手に取りたくなる表紙デザインを心がけています

イラスト&グラフィックデザイン専攻卒

ブックデザイナー(装丁家)とは?

本の表紙をデザインする職業

本の表紙をデザインする人をブックデザイナーまたは装丁家(そうていか)と言います。厳密には、装丁家は本の外側のデザインのみを手がける人を指し、ブックデザイナーは外観だけでなく中身のデザインも含めたトータルデザインを担当する人を指します。表紙はその本の顔であり、表紙デザインの良し悪しによって本の売れ行きが左右されることもあるため、読者の目を引くインパクトのあるデザインが求められます。ブックデザイナーは著者の作品への想いを汲み取り、作品の魅力を伝える上で欠かせない存在です。デザイン次第で本の売れ行きに影響を与えるという責任やプレッシャーもありますが、自分のデザインした表紙カバーが1冊の本として完成し、世に送りだされることは喜びであり、大きなやりがいといえるでしょう。

ブックデザイナーってどんな仕事?

読者の目を引くような印象深いデザインを手掛ける仕事

ブックデザイナーの主な仕事内容は本の表紙、扉、帯などのデザインや製本材料の選定までを含めた、本を作る一連の工程を担当します。書籍の内容をしっかり把握した上で、デザインにはイラストを使うのか写真を使うのか、また表紙タイトルの書体や色、本文の文字サイズや行間の幅などを決定していきます。手に取った時に感じる重さ、感触なども本の印象を大きく左右するため、紙の種類や厚みなども考慮しながらデザインしていきます。読者が本を手に取るかどうかは表紙デザインで決まると言っても過言ではなく、表紙デザインで本の購入を決める読者も少なくありません。ブックデザイナーの仕事は興味のない人の目にも留まり購入の後押しをする重要な役割を担っています。雑誌の表紙やページレイアウトを行うエディトリアルデザイナーのスキルがあれば、仕事の幅は更に広がるでしょう。

打合せ

編集者から依頼を受け、本の内容・著者の意向・ターゲット・納品スケジュールなど、詳細を確認し、作品の内容をしっかりと把握し、魅力的なデザインになるようイメージを膨らませます。

デザイン作成

ひと目で本の内容をイメージできて、読者の興味を引くデザインでなければなりません。デザイン案は、使用する紙の種類や配色の組み合わせなど、何タイプも作成して提案します。

調整・ブラッシュアップ

デザイン案を提出し、フィードバックをもらいながら調整を繰り返し、ブラッシュアップをしてデザインを仕上げます。

納品

デザイン決定後に、デザインデータを編集者へ納品します。試し刷りが印刷会社から届いたら色校正のチェックを行い、イメージ通りに仕上がるまで修正指示を出し調整を行います。

どうすればブックデザイナーになれる?

ブックデザイナーへの道のり

ブックデザイナーを目指す上でデザインソフトを使いこなせるスキルに加え、タイポグラフィーやフォント(書体)についての知識があることは大前提になります。まずは、デザイン全般の知識を習得できる専門学校への進学をオススメします。一般的にブックデザイナーは出版社やデザイン事務所で働いています。就職してすぐにブックデザイナーになれるわけではなく、ブックデザイナーのアシスタントなどを経て、経験を積んだ後にブックデザインに関われるようになります。実績を積みある程度人脈を築いてからブックデザイナーとして独立するケースが多いようです。デザイン事務所ではグラフィックデザイナーやイラストレーターがブックデザイナーを兼任しているケースもあります。

求められる知識・資質

デザイン力

本の魅力を引き出すデザイン力は必須です。読者に興味を抱かせ、「読みたい」と思わせ売れるデザインにしなければなりません。

コミュニケーション能力

編集者や著者と何度も打合せを行うためコミュニケーション能力は欠かせません。意図に合った表紙デザインにしていく調整能力も大切です。

読解力・想像力

作品の魅力をデザインに反映する読解力や本の内容から表紙デザインのイメージを膨らませていく想像力が求められます。

印刷や製本の知識

印刷・加工の工程や仕上がり、紙やインクの種類・特性・素材の価格帯など、製本に関する知識も必要です。

ブックデザイナーに必要な資格や試験情報

ブックデザイナーになるために特別な資格はありません。むしろ、資格よりもセンスや経験が問われる世界です。在学中からポートフォリオを作成し、自分の力をアピールできるようにしっかり準備しておきましょう。デザイナーと呼ばれる職業である以上、IllustratorやPhotoshopなどデザインソフトを使いこなすスキルや、色彩感覚のセンスを身につけることは不可欠です。デザインスキルに加えて、自分なりの個性を出せることが活躍のポイントと言えるでしょう。また、電子書籍の普及によって将来性を考え、他のデザインの仕事と兼任する人も少なくないので、幅広い仕事をこなせるように実力をつけておくと強みになるでしょう。日頃から絵画や美術、さまざまな広告デザインに触れ、ブックデザイナーになってからも感性を磨き続ける努力は必要です。