作品の品質を左右するとても責任の重い仕事ですが、その分やりがいも大きく日々充実しています。
アニメーション専攻卒
作画監督とは？
アニメ作画のクオリティを左右する責任者
作画監督は原画クオリティを均一化し作品としてのまとまりを維持するのが仕事です。30分のテレビアニメだと原画のカット数は300カット前後と言われており、多くの原画担当者が作品に関わることになります。原画担当者によって作画の品質にばらつきやクセがあるため、提出されたそのままの原画を使うと1カットごとに個性や絵柄の違うキャラクターが描かれるなどの問題が生じてしまいます。それを防ぐために作画監督がすべての原画をチェックし、必要に応じて修正を加えることでアニメの品質が維持されています。分業が当たり前のアニメ制作において作画の品質を維持管理する重要な役割を担っています。
作画監督ってどんな仕事？
原画をチェックし品質の底上げをする
作画の品質を維持するためにアニメーターから提出された原画の修正を行い、違和感のない作品に仕上げ、統一性を図るのが作画監督の仕事です。主な仕事は原画の品質管理のためのチェックや修正ですが、作画の最高責任者でもあるためキャラクターの表情など演技部分のクオリティ向上も作画監督の大切な仕事です。原画が提出されてから仕事に取り掛かる都合上、原画の遅れなどの影響を受けやすく、納期に追われることも多く負担の大きい立場ですが、作画の総責任者として作画監督の力量を試されるやりがいの大きい仕事といえます。経験を積んだアニメーターが次に目指すキャリアとして憧れの職業でもあります。アニメーターに的確な指示を出すためには、原画を手掛けるアニメーターよりも画力が高いことや演出への深い理解も求められるため、作画監督になるには相応の努力が必要です。
レイアウト修正
原画担当者から提出されたレイアウトは、まず、演出家にチェックを受けます。演出家のチェックを通ったレイアウトは作画監督にまわされます。作画監督は送られてきたレイアウトに修正用紙というものを乗せてそこに修正箇所をコメントしたりキャラクターを直したりして原画担当者に送り返します。
原画修正
送られてきた原画をチェック、修正する工程です。原画に修正用紙を乗せ修正を行い、完成した原画は動画へ送られます。通常テレビアニメ一話につき作画監督は一、二人ですが、スケジュールが遅れ納期に間に合わない場合は作画監督を増やして対応することになります。
原画
スケジュールに余裕があるときは作画監督も原画を描きます。作画監督の中にはその話のカットをすべて担当する「一人原画」を行ってしまう人もいます。
どうすれば作画監督になれる？
作画監督への道のり
アニメーターとして就職し動画、原画、作画監督とキャリアアップを重ねていくことで作画監督になることができます。何よりも画力が求められる役職なので、アニメーターとしての仕事を通して継続的に実力を磨いていくことが大切です。専門学校でアニメーターに必要な技術やデザインの知識などを学び基礎をしっかりと固めておけば、就職後のスキルアップにも役立ちます。要求水準の高さから慢性的な人手不足の役職なので、実力さえ認められれば引く手あまたとなるでしょう。
求められる知識・資質
高い画力
複数のアニメーターから上がる原画のクオリティを統一し、レイアウトや動きをチェックし修正指示を出す上で、高い画力があることは大前提になります。
演出力
作画監督は作画の責任者であり、作画監督がOKを出した画が放送されることになります。 そのため、絵コンテから監督の演出意図をしっかりと読み取り画に反映させるスキルが大切になります。
コミュニケーションスキル
多くのアニメーターに指示を出したり、監督や演出家の意図を汲みながら共に制作していく上で、連携力やコミュニケーションスキルは欠かせません。
作画監督に必要な資格や試験情報
作画監督になるために必要な資格や試験はありません。作画監督は実力主義の役職のためアニメーターとしてたしかな実績を積んでいくことが大切です。 アニメーション実技試験は、自分のスキルを測れる試験なので確認するために受けてみるのもよいでしょう。CGクリエイター検定はCG映像に関する知識を問う検定試験です。作画監督と直接は関係ありませんが2Dと3Dが同じ画面で描かれることも増えてきているのでCGの知識を持っていると役立つかもしれません。絵に関する能力はもちろんですが、作画監督は想像力や発想力も大切になってくるので、多くの絵や映画、舞台などの芸術に触れて表現やインスピレーションの幅を増やし感性を高めることも重要です。
